君の笑顔は何処を見る?
夕焼け空を見上げて 少年は小さく溜息を吐く。
この街は、平和だ。
美しく、賑やかで、明るい。
人々は優しく、誰もが幸せで。
少年だってそうだ。
人を怨んだことは無く、幸せを失ったことも無く。

だからこの溜息は、別に、未来を憂いだものだという訳ではない。
未来というよりは寧ろ過去
・・・・思い出したくないものだった

「あれは夢じゃないんだよな。」
少年は小さく小さく呟く。
窓のカーテンが答えるように、さらりと揺れた。

外には、心地よい喧騒。
何処か遠くで、教会の鐘がなる。
空を横切る鳥たちも、それにあわせて歌っていた。
この世界は平和なのだ。

それなのに
それなのにも拘らず
あの過去は消えない。
この街の歴史は、色褪せない

「僕は・・・僕はどうすれば!」

心の中から漏れ出た呻きは
誰にも届かず 茜の空へと吸い込まれる
誰もいない家の中は、
外とは違って薄暗い。

黒と橙
 その対比は、あの時と似ていて
 それでいて 全く違うもので

瞼の裏に蘇る紅は、
鮮やかで、艶やかで
それだけで 彼を潰そうとする
見たくない 聞きたくない
その思いが彼の胸を締め付ける

平和な世になって尚
苦しめる悪夢はそこにあった・・・


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後書き  (作:風名 2008.6.2 up:8.8 )

一応、二周年記念イベントの一部のつもりで書き上げちゃったブツです。
もうちょい長くなる予定が、製作時間の都合により慌てて作り上げました。
えーとこの街は夕焼けの街です。

・・・と考えると、なんか歴史が絡んできそうな予感?

最近真面目な物語 書いてないな・・・

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