太古に滅びた文明が 残したグレーの石畳

天界に向かって開く 円い形の競技場

壁は儚く脆く崩れさり

残されたはただの廃墟


風の遠鳴りは 嘗ての栄華を懐かしみ

月光の明かりは 哀しげな現(うつつ)を映し出す

夢は何処に?未来は此処に。

歴史は際限なく繰り返されて


そんな場所の片隅に

真っ黒な影が2つと1つ

ぼんやりとフワフワと

ただ其処に浮かんでいた



++魔女っ子談義++



「大体さー
 普段は魔女なんて屁とも思ってない奴等なのに、なんで今日だけ私達の真似をすんのよ〜」
暗闇の中、この場には相応しくない今風の若者のダルそうな声が響く。
「真似されるのって、いやなのよね〜」
―― こっちはこれを『個性』だと思ってるのにぃ
三つの影以外は誰もいない廃墟だ。
その声は場違いに遠くまで響く。
声の主はやはり若者・・・というより12、3の少女だった。
黒いとんがり帽の下には、闇の中で尚輝いて見える水色のストレートが覗いている。
箒の上で足を組み―ミニスカートなのにはお構いなしだ―、フワフワと漂いながら時々箒ごと回転している。
それに合わせて、一緒に乗っている猫がくるくると歩くのは見ていて面白い。
「仕方ないじゃない、ララ。
 キャンディ貰えるんだから我慢しなさいよ。」
もう一人の影が初めの彼女を宥めるように言った。
此方は若干年上のようだ。
箒を横の石段に立てかけ、自分も普通に腰掛けている。
「えー・・でもあれ みんなちゃちぃじゃん??」
―― 年に一度のお祭、 なんて 大仰に言ってる割にはさ〜
少女はあくまで批判論を続ける。
が、その箒の柄には お菓子が溢れんばかりに詰め込まれている かぼちゃを象った入れ物がかかっていた。
「満更でもないくせに。」
そんなこと言うんだったら、お菓子貰うのやめなさい、
と、年上の女の方がぴしゃりと言った。
少女はその言葉に口を尖らせる。
「むりー!!
 母さんとか姉さんとかが、昔経験してきた 酷い扱いに対する償いをしてもらわなきゃいけないでしょ。」
―― ねー リリー
言いながら少女はカボチャの入れ物をとんとんと叩き、其処からクッキーを2つ取り出した。
1つを黒猫の口に突っ込むと、もう1つを自分の口に挟む。
「それに、食べられるものは食べた方が良いっしょ。」
「素直じゃないんだから〜。」
苦笑いをしながら姉が立ち上がった。
・・・そう。
もう時間だ。
此処からでは見えないが、もう充分に街の明かりは消えたことだろう。
「じゃぁララ、仕事に行くよ。」
「めんどいなー」
「ぐずぐず言わないの。」
少女と女は揃って空を見上げた。
三日月。
・・・決して明るくは無い月がそこに浮かんでいた。

***

後書き(2007.10.30 UP2008.2.2)

 ・・えと、 結局 この人たち 夢商人(サイトで登場中です・・多分)みたいな仕事を
 してるんだろーなーとか思います。
 きっとそうです。
 夢商人が活躍している世界とはまた別の世界の住人ですけどね。
 なんか 途中から描写入れるのが面倒になったので 入れてません(ぉぃ
 いつか推敲するときに 書き直しますね。。。 きっと 推敲しますんで。

 ま そんな感じで。。。。

 気を取り直すどころか、 余計に気が滅入っちゃったというのは スルーな方向で。


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